『振り返れば未来~山下惣一聞き書き』-書籍のご紹介

『振り返れば未来~山下惣一聞き書き』
ご購入は、ぜひ、小農学会経由で。山下さんの講演録付きです!

定価販売(2200円)ですが、送料無料、振り込み手数料こちら持ち(赤の振り込み伝票)で、山下惣一さんの講演をまとめた小冊子「食と農のゆくえ(約70ページ、2003年)」付きで発送します。 なお、複数冊購入には割引いたします。 【小農学会HP-メールアドレス】までお問い合わせください。
書籍版のご紹介 八尋幸隆-書評
「振り返れば未来」書籍版のご紹介
自分の頭で考え、表現する百姓
私が最初に山下文学と出会ったのは、学生時代のとき。北海道研修旅行中に帯広駅の書店でたまたま手に取った『野に誌しるす』という本を通じてでした。作者の山下惣一さんは 30代半ば。その内容もさることながら、「文章を書く百姓がいる」ことに驚きました。自分のアタマで考え、それを表現する百姓がいる。しかもわれわれにも分かる言葉で……。
減反政策が始まった1970(昭和45)年。これまで必死に働いてきた百姓たちが何とも言えない、モヤモヤしたものを胸に抱えていたのは、当時高校生だった私もなんとなく感じていました。そんな時期に山下さんが、百姓の言葉で世の中に切り込んでくれたように思えたのです。
本などめったに読まない母が、「山下さんな、ほんなこつば書いとんしゃあたい」と言ったのを覚えています。

「百姓は等身大のことしか言えない」
在学中の 21歳で就農した私は、近所の消費者と提携。野菜と一緒にガリ版刷りの通信を届けるようになりました。内容は畑の様子とか、農作業をしながら思うこととか……。まあ山下さんとはレベルが違うけれど、それでも書くことと百姓仕事を両立させるとなると、相当のエネルギーが必要でした。「百姓は等身大のことしか言えない」。山下さんのこの言葉は、農の現場で実際にやっていることの範囲でしか書けないという意味ですが、私には農学者でも農業ジャーナリストでもない、農民作家としての矜持に思えました。
とはいえ、現場からの発言となると、どうしても家庭内のプライベートな話も出さざるを得ません。身内の話で迷惑をかけるんじゃないかと思い、「大丈夫ですか?」。山下さんに尋ねると、「いや~、カミさんは俺の書いたもんやら読みよらん」。2人で大笑いしたことを憶えています。

「人間 山下惣一のすごさと人間味」
2022年7月 10日、 86歳で永眠された山下さん。それと入れ替わるように、その生涯をたどった『振り返れば未来 山下惣一聞き書き』が世に出ることになりました。
聞き手は、私同様、学生時代に山下文学と出会い、新聞記者の道に進んだという佐藤弘さん。
その生い立ちから、子や孫に山下家のバトンを渡すまでを丹念に描いたこの本を通じ、改めて山下さんの社会を見るまなざしの確かさに触れたことで確信したことがありました。私は就農以来、さまざまな農業批判に直面するたび、山下さんを盾にして抵抗してきたのだ、と。
「農業とは本来、常に未来のために汗を流す、夢を育てる仕事。だから明日を信じ、木を植える。父に限らず、おそらく一時代前まで日本の百姓の思想、生き方はそのようなものであったでしょう。その遺産の上に私たちは生きています。時代がどう変わろうと、日本の国土や原風景が守られているのは農村の小さき百姓たちが頑張っているからであることを、多くの皆さんに理解してもらえればうれしいです」と語る山下さん。ぜひ、若い農家や消費者のみなさんにも読んでほしいなあ。
福岡県筑紫野市/百姓・むすび庵八尋幸隆
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