小農学会の大会宣言・設立趣意書
- われわれは農の神髄は小農に在ると確信し、その研鑽、実践と普及に努める。
- われわれは農はお天道さまとのもやい仕事であることを認識し、自然の営みに沿った農を実践する。
- われわれは農の使命は人類の生命の維持であることを理念とし、すべての人々にその恩恵が届く社会を目指す。
2015年 11月 29日
2015年 11月 29日
20世紀は二つの世界大戦や内紛など、繰り返される戦争と、一方では人による地球環境を破壊していく世紀であった。
21世紀こそ平穏でありたいと、多くの人々は願ったはずであるが、21世紀を迎えても対テロ戦争など新たな戦争が繰り返され、人の心も乱れ、地球環境も益々悪化し、世界は混迷の一途をたどっている。我が国もまた戦争の出来る国へと変容した。
戦後の我が国は豊かな生活を求めて、経済大国として復興したが、 一次産業 (農林水産業)から二次(工業)・三次産業(サービス業)へ、農村から都市へと人は大移動し、過疎の村と過密の都市という地域に二極分解した。
古来より光注ぐ太陽のお蔭で、人は大地を耕し、生き物の命を育み、その命をいただいて生きてきた。今や大型スーパーに並ぶ豊富な食材を、多くの都市生活者は第二次、三次産業で得たお金で買い、生き物の命を育み命をいただく意識は薄れている。
既成の情報や知識が役立たなくなっている今日、このような状況を打開するには、何を価値の基準とし、何を頼りとして現在を生きるのか。その答えを出していかなければならない。これまでの価値観から抜け出し、斬新な発想に立って、自らの生き方と、我が国の進路、
とりわけ農業・農村社会の方向性を探求していく必要がある。それには既成の組織やマスメディアの情報のみに依存せず、自らの意志と頭で学習を積み重ね、研鑽する努力が今求められている。
貨幣経済が発達し、人は都市に集中し、村の小学校が廃校となり、集落が消滅し農村が寂れていく。にもかかわらず相変わらず農政の流れは、営農種目の単純化・大規模化・企業化の道を推し進めようとする。それに抗してもう一つの農業の道、複合化・小規模・家族経営・兼業・農的暮らしなど、 小農の道が厳然としてある。
なお小農とは既存の農家のみならず、農に関わる都市生活者も含まれた新しい概念と考えたい。このいずれが農村社会の崩壊を押しとどめることができるのであろうか。これを明確にしなければならない。
このため、小農の道をめざす勢力がもっと結集し、研鑽し、社会的発言力を高める必要があるのではないか。
故に小農学会の設立を提案する。