これまでの歩み(沿革)

小農学会のこれまでの活動の歩みをご紹介します。

2015年7月28日

設立へ向けての準備会

福岡県宮若市  湯原荘(参加14人)

萬田正治、山下惣一両氏の共同代表への就任、出席者の中から世話人候補を選任することを確認。
名称を「小農学会」とすることと、申し合わせ事項などを決定したほか、設立総会の開催日時、告知方法、内容などを泊まり込みで協議した。

2015年11月29日

設立総会

福岡市中央区天神  西日本新聞会館

設立総会には地元九州をはじめ、京都や千葉、北海道など、全国から農家、研究者、ジャーナリストなど90人ほどが参加。
新しい「小農」のあり方や学会の方向性などをめぐって熱心な議論が交わされた。

○ 総会内容は以下の通り

設立報告

萬田正治・共同代表(鹿児島大学名誉教授)

基調講演

山下惣一・共同代表(農民作家)

パネル討論

  • 徳野貞雄・副代表(トクノスクール・農村研究所、熊本大学名誉教授)
  • 宇根 豊・世話人(百姓、元農と自然の研究所主宰)
  • 八尋幸隆・副代表(百姓)

・ 設立趣意書の承認

・ 運営方針、活動方針の承認

2016年4月24日

2016年度 総会&シンポジウム

福岡大学

○ シンポジウムテーマ「小農の神髄」

パネル討論

  • 宇根 豊・世話人(百姓、元農と自然の研究所主宰)
  • 沢畑 亨(水俣市久木野・愛林館長)
  • つる理恵子(跡見女子大学)
  • 徳野貞雄・副代表(トクノスクール・農村研究所、熊本大学名誉教授)

2017年3月5日

第1回現地検討会

鹿児島市川上町  橋口農園

合鴨農法による米作りや有機農法による野菜づくりを中心に経営を続けている農園を訪問。
橋口孝久さんの案内で農場内を見学した後、橋口さんご夫婦と息子さんの3人を囲んで、体験農園の経営や後継問題などを話し合った。

2017年4月23日

2017年度 総会&シンポジウム

福岡大学

○ シンポジウムテーマ「小農こそ世界の流れ」

パネル討論

  • 古野隆雄・世話人(有機農家)
  • 川口 進(井原山田縁プロジェクト事務局長)
  • 立花智幸(兼業農家)
  • 徳野貞雄・副代表(トクノスクール・農村研究所、熊本大学名誉教授)

2018年2月24・25日

第2回現地検討会 in 京北

京都市右京区京北地区

1日目は京都府のゼミナールハウス「あうる京北」に約100人が集結。
山下惣一・共同代表の講演を聞いた後、地元の後継者やIターン農家など4名が報告。
村づくりや若手農家の課題などを話し合った。
2日目は近くの美山集落に移動し、集落の再生事業の様子などを視察した。

○ 内容は以下の通り

24日 13:00

講演:「村づくりと小農」 山下惣一・共同代表(講演後はパネル討論、夜は懇親会)

25日 9:00

美山集落に移動後、美山集落にて講演
講演:「住民のふるさと再生を」 中野貞一(美山民俗資料館長)
美山集落の視察

2018年4月22日

2018年度 総会&シンポジウム

福岡大学

シンポジウムでは萬田、山下・両代表が実体験に基づき、農業と向き合う姿勢や覚悟などについて熱く語った後、会場から多くの質問も寄せられた。

シンポジウムテーマ「小農を育てる」

報告

「霧島生活農学校の夢」:萬田正治・共同代表
「百姓の五段階」:山下惣一・共同代表
○ 聞き手
  • 沢畑 亨(愛林館長)
  • 外前田 孝(宮崎日日新聞社)

特別報告

「ホウキング・選択除草の可能性」:古野 隆雄・世話人
「九州北部豪雨志縁プロジェクト」:佐藤 弘・世話人(西日本新聞社)

2019年3月5・6日

第3回現地検討会 in 黒木町

福岡県黒木町笠原地区

2012年の九州北部豪雨から6年余りが経って、「笠原棚田米プロジェクト」などユニークな取り組みで復興してきた笠原地区の取り組みに学んだ。
1日目は当地の「山村塾」スタッフの案内で現地見学後、山村塾事務局長の小森耕太さんの報告を聞き懇親会。
2日目は山下惣一・共同代表の講演のあと、会場からも参加して総合討論を行った。

○ 内容は以下の通り

5日 13:00

オリエンテーション、現地見学(夜は懇親会)
報告:小森耕太(山村塾事務局長)

6日 9:00

講演:山下惣一・共同代表(講演後、総合討論)

2019年5月12日

2019年度 総会&シンポジウム

福岡大学

種子法の改正などもあって、種子をめぐる動きに関心が高まった時期。そもそも農家にとって種子とは何かを考えようと、シンポジウムを開催した。

シンポジウムテーマ「種子を守る」

報告

「種子を科学する 作物のルーツから在来品種の保全まで」:冨吉 満之(久留米大学経済学部)
「鹿児島の伝統野菜の復活への取組み」:橋口 孝久(有機農家)

特別報告

「小農宣言、世界と日本の動き」:松平 尚也(京都大学農学研究科博士課程)
「北部九州豪雨からの復興、笠原地区の取組み」:小森 耕太(山村塾事務局長)

2020年1月13日

新しい小農・出版記念シンポジウム

福岡大学

小農学会編『新しい小農〜その歩み・営み・強み』(創森社)の出版を記念して、シンポジウムを開催した。
シンポジウム総括:山下 惣一・共同代表

報告

「なぜ小農の時代なのか〜出版に至る経緯」:萬田 正治・共同代表
「始まりも終わりもない曼荼羅絵を生きる」:福永 大悟(有機農家)
「一般消費者、若者たちとともに農的暮らしを楽しむ」:八尋 幸隆・副代表
「『百姓、生産者、小農』と100年の変遷」:徳野 貞雄・副代表

特別報告

「発展途上の技術―ホウキング」:古野 隆雄・世話人

2021年5月29日

第4回小農学会リモート総会

2020年から2021年にかけて新型コロナウイルスの感染拡大が続いたため、小農学会の活動は約1年半休止。
そこで急遽、はじめてビデオ会議アプリZoom(ズーム)を使ったリモート総会を開催し、約30名の会員の参加を得て、今後の活動について意見を交わした。

報告

活動を再開した小農学会は、萬田正治・代表、徳野貞雄・副代表、八尋幸隆・副代表という新しい役員体制でスタート。
新しい事務局は複数メンバーで担う体制で、新しく出発した。

2021年7月16日

第1回オンライン定期セミナー

第1回目の「オンライン定期セミナー」として西日本新聞社との共催で実施。
米国の社会人類学者ジョン・F・エンブリーが、戦前の熊本県須恵村(現あさぎり町)に住み、農村生活を記録した「須恵村~日本の村」は、世界的なベストセラーとなった。
この著作の新・全訳本を農山漁村文化協会から刊行した田中一彦氏を講師に招き、「須恵村~日本の村」の面白さと現在的意義について、ビデオ会議アプリ「Zoom(ズーム)」を使ってオンライン講演会を開催した。
オンライン定期セミナーの詳細は 【こちら】 を参照

2021年10月20日

「小農学会」ホームページ リリース開始

約半年間の準備段階を経て、「小農学会」ホームページがいよいよリリースを開始した。
<小農学会ホームページ URL(https://shounou-gakkai.com)> 小農学会ホームページはパソコンだけでなく、スマートフォンやタブレット端末でも無料(通信料を除く)で見ることができる。
小農学会をアピールするため、2015年の設立総会にて採択した「大会宣言」「設立趣意書」をはじめ、「これまでの歩み」「小農の現場から」「おすすめ書籍」「学会誌(バックナンバー)」など、多彩な記事や読み物、記録などを紹介している。
それと同時に、会員だけがアクセスできる連載記事や交流広場なども今後、掲出していく。
このHP開設に合わせ、
  • (1) 今年、春から準備して印刷アップした「会員名簿」をはじめ
  • (2) ホームページ開設の案内
  • (3) 年間活動計画
  • (4) 第2回オンライン定期セミナーの案内
などを、すべての会員に送付した。

2022年5月26日

第5回「小農学会」オンライン総会

     昨年に引き続いて、今年の第5回「小農学会」総会は、ビデオ会議アプリZoom(ズーム)を使ってオンラインで開催。約35名の会員の参加を得て、今後の活動内容について意見交換などを行った。

報告

○ 会員数
     2022年5月26日現在の会員数は118名であり、このうちメーリングリストへの参加は86名に及んでいる。昨年6月の会員数101名に比べ、わずかだが増加している。
○ 新しい役員体制
     創設以来、「小農学会」代表を務めていただいた萬田正治氏が、「高齢のため、代表の任務を果たしにくくなったこと、次代の人材に道を譲るタイミングであると判断したこと」を理由に代表辞任を表明された。 この申し入れを受け、世話人会で検討を重ねた結果、代表辞任を承認することとした。
     新しい役員体制は、新代表を選ぶのは当分、見送ることとし、副代表には徳野貞雄氏、八尋幸隆氏の2名、世話人には古野隆雄氏、外前田孝氏、佐藤弘氏、近藤和幸氏、梅村幸平の5名を選任しました。 事務局は引き続き佐藤、近藤、梅村の3名で務めていく。
○ 年間活動計画
     本年は年間活動計画として、会員名簿の作成・「振り返れば未来」書籍化への取り組み・オンライン定期セミナーの定期化・小農学会HPのメンテナンス継続/拡充などを予定している。 詳細は、活動計画ページを参照
○ 総会開催記念「ビデオ鑑賞会」
     報道特集「いま日本の土は…」(45分間)
1985年(昭和60年)の放映。佐賀県唐津市湊で発生した「死に米」。その原因を探るため、山下惣一さんが各地を歩く。
そして、見えてきたものは…。ビデオ鑑賞後、感想と意見交換を行った。

2022年7月10日

山下惣一さん 86歳にて逝去

     土に根ざした地べたからの目線で、現代社会に警鐘を鳴らす小説や評論、エッセーを書き続けてきた農民作家の山下惣一さんが、7月10日午後6時50分、肺がんのため、佐賀県唐津市の病院で死去した。86歳。

2022年10月30日

山下惣一さんをしのぶ会 開催

     2022年7月に86歳で亡くなった農民作家・山下惣一さん=佐賀県唐津市出身=の生涯を振り返る「しのぶ会」を福岡市城南区の福岡大学で開催。約160人が集い、ゆかりのあった人々の思い出話に耳を傾けた。

2023年5月26日

第6回「小農学会」オンライン総会

     第6回「小農学会」総会を「ZOOM(ズーム)」を使用したリモート形式にて開催。26名の会員が参加した。

報告

○ 会員数
     2023年5月25日現在の会員数は133名を数えている。昨年4月末の時点では116名だったので、会員はこの1年間に17名と着実に増えている。
○ 役員体制の改訂
     副代表2名を世話人に変更し、新しい世話人として農業ジャーナリストとして活躍する榊田みどりさんと、井原山田縁(いわらやまでんえん)プロジェクトに取り組む川口進さんを加えた。
新役員体制は全員を世話人とし、徳野貞雄さん、八尋幸隆さん、古野隆雄さん、外前田孝さん、榊田みどりさん、川口進さん、佐藤弘さん、近藤和幸さん、梅村幸平の9名とする。
○ 第15回オンライン定期セミナー
     講師は農業ジャーナリストの榊田みどりさん。
テーマは「結いと絆の小農連合『だから集落営農が必要だ』~島根県津和野町からの報告」
この他、下記報告を行いました。
  • ○ 「第5回小農学会」総会をリモート形式にて開催
  • ○ 前事務局・門田信一さんから2022年度の会計報告
  • ○ 小農学会HPの作成・運営の報告
  • ○ 第6回~第14回の「オンライン定期セミナー」の実施
  • ○ 「小農学会誌 第4号」の発行・原稿募集

2024年7月7日

第7回「小農学会」総会

     オンラインではなく、久し振りに対面による第7回「小農学会」総会を開催した。

報告

○ 会員数
     2024年7月末の会員数は156名となっている。
2021年10月末の会員数110名から、この2年半で46名も増えたことになる。ちなみにこの1年間では16名も増えている。
これは「小農学会」に期待している人が、確実に増えていることの証だと言える。
しかし、この3年間での退会者は10名だが、このうち逝去された方が6名を数えていますから、会員の高齢化傾向が認められる。
○ 新しい役員体制
     新しい世話人として山形県長井市の農家・菅野芳秀さんと、水俣市久木野のふるさとセンター「愛林館」で地域づくり活動に取り組む沢畑亨さんを加える。
その結果、世話人会のメンバーは徳野貞雄さん、八尋幸隆さん、古野隆雄さん、外前田孝さん、榊田みどりさん、川口進さん、菅野芳秀さん、沢畑亨さん、佐藤弘さん、近藤和幸さん、梅村幸平の計11名とする。
○ 学会誌「小農」のお渡し
     前回から4年ぶりとなる小農学会誌、「小農 第4号」の発行を計画し、みなさまから原稿を募集し、総会当日に“出来立て”の第4号をお渡しした。
○ オンライン定期セミナーの報告
     2021年7月からスタートした「オンライン定期セミナー」は、2023年5月の総会までに15回、開催した。そして、昨年5月から今年6月までに実に11回も開催している。
○ ホームページ活動報告
     2021年10月20日から運用を開始した「小農学会ホームページ」は、開設以来、さまざまなページを順次、追加掲出することで情報量を拡大してきた。
この1年間のホームページ全体での利用状況は、表示回数が11,712回、訪問ユーザ数が2,275人でした。
○ 新版 食卓の向こう側の配布報告
     2023年度の会費納入の全員に、特別プレゼントとして『新版 食卓の向こう側<コミック編>』(1,430円、不知火書房)を無料で贈呈した。

シンポジウム
【第一部】

【第一部】菅野芳秀さんによる基調講演
  • 農政の流れは、相変わらず営農種目の単純化、大規模化、企業化の道を推し進めようとしている。
    これに対抗して私たち「小農学会」は、複合化、小規模化、家族経営、兼業、農的暮らしなど、もう一つの「小農の道」があることを、創設以来、強く訴えてきた。
  • 山形県長井市で1997年に始まった生ごみ循環システム「レインボープラン」を推進し、地域の農業と台所をつないだ農家、菅野芳秀さんによる基調講演。
    国が進める農業の大規模化、企業化の流れの中で、小さな農業・農家を大事にする視点がますます重要になっている。
    従来の開発・発展を優先する思考から、生存と循環を重視する方向へ、まさに価値観の転換期を迎えている。嘆くばかりでなく、どう希望を語るのか、それが重要である。
  • 熟して落ちる寸前の柿に心境を問えば、「俺は先に逝く。お前は元気でいろよ」と答えるだろうか。
    「よし、俺は地に降りて芽吹くぞ。これから俺たちの時代が始まる」と希望の話をするのではないか。いまこそ時代が求める「小農の道」の大切さを、明確に、力強く、訴えていくことが喫緊の課題だと捉えている。

シンポジウム
【第二部】

【第二部】パネルディカッション「みんな、百姓にな~れ!」
  • プロの農家からベランダ菜園まで、農と関わる多様な事例を報告し、新たな一歩を踏み出すきっかけとした。
    3人のパネラーによるそれぞれの事例報告、意見発表を受けて、パネラーとコーディネーターの4人が、「誰もが百姓になる」ためのヒントや道すじについて議論を深めていった。
  • パネラー川口進さん:糸島市の3ヘクタールの棚田で、150組の家族が1年を通してコメや野菜作りに汗を流す「井原山田縁(いわらやまでんえん)プロジェクト」を実践している。
  • ネラー沢畑亨さん:水俣市久木野のふるさとセンター「愛林館」で、幅広い地域づくり活動を精力的に展開している。
  • パネラー梅原彰さん:『農業は生き方です~ちば発楽農主義宣言』の著者。千葉県市原市、元農業改良普及員。
  • コーディネーター榊田みどりさん:農業ジャーナリスト
    【第一部】【第二部】のシンポジウムを通じて、現在の農を取り巻く課題や、農を身近に感じる試みなどについて、多彩な取り組みや気づきの重要性が指摘された。